少し前までの鬼滅の刃のブームについて

なぜここまで人気がでたのか?

 

週刊少年ジャンプに連載していた漫画・鬼滅の刃。
この記事を書いている2022/09/29の時点で鬼滅の刃はコミックス累計発行部数1億5000万部以上という数字を叩き出しています。
これめちゃくちゃな数字ですよね。
連載してたのは2016年から2020年の4年間くらいなのにこの売上。
しかも2019年4月のアニメ化の時にはまだ300~500万部ほどだったのに、
そこからわずか1年半後の2020年10月には1億冊突破してましたからね。
そして映画は興行収入400億を超えて日本歴代興行収入ブッチギリの1位…

 

一体なぜこんな社会現象化するほど人気が出たのだろう?
現在はさすがにあの異常とも言えるブームは少し落ち着き、どこみても鬼滅関連の何かがあるというような感じではなくなりましたが、それでも関連グッズは人気ですしコラボなんかもたくさん見かけます。
大人気なのは変わらずです。

 

というわけで、今回は鬼滅の刃について語っていこうかと思います。
ネタバレもあるかもなのでお気を付けください。
(できるだけ抑えます)

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ストーリー説明 悲しみと命懸けの戦いの連続

これがまたなかなかに重たいストーリーなんですよねー。
舞台は大正時代であり、人を喰らう「鬼」とそれと戦う「鬼殺隊」とのバトルを描いた作品です。まず主人公の竈門炭治郎ですが、ストーリー開始後すぐに家族を失います。
妹1人を除いた、母と残りの兄弟全員を鬼に惨殺されてしまいます。(父はすでに故人)
しかも生き残った妹も鬼にされてしまうというね。
悲しい、悲しすぎるよ!

 

その後は妹を治してやる為、
そして鬼と戦う為に鬼殺隊に入り仲間と共に過酷な戦いに身を投じていく…
ストーリーは簡単に言えばこんな感じです。
コメディ要素も随所にありますが、基本的には暗く重めのストーリーと呼んでいいかと。

なかなかの残酷さ

これだけでもなかなかジャンプにしては主人公の悲しみ重いなーって思うのですが、
鬼滅の刃が過酷なのは、キャラが肉体的にちゃんと傷つくし、人が普通に死ぬのです。
爆発的な人気が出始めた頃にはすでにジャンプ本誌はクライマックスに突入していたのですが、
もう四肢は欠損するわメインキャラはバタバタ死ぬわでえらいことになっていました。

 

少年ジャンプだと本格的なバトル物の漫画でも四肢の欠損とかはあんまりさせない気がします。
普通ラスト近くでも主人公側の人間が蘇らない形で死ぬ事は少ないし、
欠損描写があってもここぞという場面で気合を入れて書かれています。

 

それが鬼滅だとしょっちゅう死ぬしガンガン傷つきます。
でも冷静に考えれば肉体の運動能力で人間の遥か上をいく鬼が、それぞれ固有の危険な超能力じみた力を振るって襲い掛かってくる訳ですから、戦いごとに人がバンバン死んだり切り刻まれるなんてのは当たり前なんですよね。
そういう意味ではフィクションでありながらも、ある意味リアルなのかもしれません。

キャラの魅力と女性ウケのよさ

こう書くと「鬼滅は女性ウケを狙った漫画ではない!」と言われてしまうかもしれませんが、
事実としてグッズなどの販売時には女性客が殺到しニュースで報道されるほどの混乱が生じている以上、狙った訳ではないにしても、この作品が女性から特に愛されていることは否定できないかなと思います。
(もちろん男性も多数読んでいます、僕も好きです)

 

んで、なんでここまで女性人気が高いのかな?と思う訳ですよ。
まずキャラの魅力ですが、鬼滅のメイン登場人物は基本的に敵味方問わずみんな激重な過去があるんですよね。
殺されたり殺したり捨てられたり巻き込まれたり…なにかしら痛みを抱えています。
個人的な考えですが女性はそういった心の痛みの共感に優れるイメージがありますので、
もしかしたらそういう内面描写に共感したり心を揺さぶられる所から、
キャラへの愛が始まり深まっていくのかな?

 

バトル要素のある漫画だと男性は「戦闘そのもの」を楽しみにする人も多いと思いますが、
女性の場合は「戦闘そのもの」よりも、戦闘に至るまでの過程・戦闘において変化していく「心」や「表情」を楽しみにしている人も多いかなと。
そこらへんを描くのが鬼滅はうまいのかもなーと思います。
内面描写や心を重要視している分、それぞれのキャラクターの関係性なんかも想像しやすいですし
(結果二次創作も活発になりますね)

 

あとは…たまに入るギャグシーンも女性に好まれている部分かもしれません。
なんというか、ギャグパートの会話やノリが女性向けに感じるんですよね。
どこがどうとは説明しにくいんですが
ハイキューを読んだ時に感じたギャグのノリを思い出しました。

悪役の存在 無惨様マジ無惨様やで…

そしてバトル漫画において悪役ないしボスの存在は重要です。
例えばジョジョのDIO様、バキの範馬勇次郎、るろうに剣心の志々雄真実…
例に挙げたキャラ達はみな魅力的です。
強く、カッコよく、信念がある訳です。

 

では鬼滅の刃の無惨様はどうか?
一言で言えばカスです
とても強く、信念(太陽の克服・なんとしても生きる)もあるんですが、
とにかくカッコ悪い。生き恥。
無残様ファンには怒られるかもしれませんが、でもそこが無惨様の魅力だと思うんですよね。

 

鬼になった経緯も自分勝手だし、部下には感情的にパワハラをかますし、
強いやつからはそいつの寿命が尽きるまで逃げ隠れるし…
基本的に無惨様はラスボスなのに、思考や言動や行動がとても小物なんです。

 

ただ、小物でありどこまでも自分勝手であるがゆえに、悪役キャラによくある
「実は過去にこんな辛い事が…」「辛い事があってこんな風に…」
的な同情ポイントがほぼ無いんですね。
(細かく見れば過去病気に苦しんだという事はありますが…それもまあ主治医を後ろからザクーいっちゃってますし自業自得な気もする)
だからこそ主人公達が無惨様を倒す事を心から望めるし、倒した後に何とも言えないもやもやを感じる事もない訳です。

 

個人的にここは鬼滅の刃という作品の中で結構好きなポイントです。
別に悲しい過去を抱えた悪役が嫌いという訳ではありませんが、やっぱり悪役にはどこまでも悪役らしくいてほしいんですよ。
ライバル的な形でのボスなら過去の因縁は燃えます。
しかし悪役と名がつくのなら、どこまでも悪でどこまでも自分勝手でいてほしい
絶対に倒さねばならぬと読者に思わせてくれる…
その観点からいくと、無惨様サイコーって感じなんですね。

アニメと主題歌の力ってすげぇ

僕自身は最近はアニメをほぼ観ないのですが、鬼滅の刃のアニメを制作したのはufo(正式名称はユーフォーテーブル有限会社)という高い技術力で人気の制作会社さんが制作したそうです。
僕も鬼滅の刃の戦闘シーン切り抜きを観てみましたが凄かったです。
映像の綺麗さと演出に引き込まれました。
原作のいい所をうまくアニメに落とし込んでいるなぁと感じましたね。

劇場版は映画館に観に行ったのですが(アニメ本編観てないのに)、感動しましたね。
ストーリーは面白いし映像はめちゃくちゃ奇麗、特に最後らへんの煉獄さんvs猗窩座のバトルなんて「ここのバトルをもう一回観る為だけにまた観に来てもいいな…」と思うくらい良かったです。

 

そして主題歌です。
こちらは主にアニソン方面で大人気のミュージシャンのLiSAさんが歌った「紅蓮華」という曲です。
これがまたいい曲なんですよねー、歌詞も曲も素晴らしい。
歌詞はLiSAさんが作詞されているのですが、まさに鬼滅の刃の為に書かれた感じの内容になっています。傷ついても闘う覚悟や前に進もうとする意志を感じる事ができます。
アニメOPではさらに主人公の竈門炭治郎の気持ちに合わせるために、歌詞が一部変更されている所もポイント高いです。
他にも鬼滅の関連曲はありますが、やはりこの曲が一番人気ですね。

とはいえなぜここまで大ヒットしたのか?

漫画・アニメ・主題歌全てハイレベル。
しかしそれでもなお不思議に思うほどの大ヒット。
やはりここまでに書いてきた「重いストーリー・内面描写・ごまかさないバトル」
これがうまい事嚙み合ってたのかもしれませんね。
猗窩座なんて敵ながら「もういい…!休め…!」て言ってあげたくなるくらいに心の奥の奥はボロボロでしたし。
敵(一部を除く)も味方も過去があり必死なんだなと思わせてくれます。

 

そして鬼滅が爆発的に流行り始めてしばらくした頃に、例のコロナが本格化しました。
インドアに過ごす人間も増えて、漫画やアニメなどの外に出ずとも楽しめるコンテンツは世の流れとも相性がよかった為、このタイミングで作品に触れた人も多かったでしょう。

 

あと出版社なり広告屋なりがたくさん広告を打ったりコラボしたりして知名度を高めていった、というのは勿論なんですが、個人的にネットの影響力が良い方向に働いた作品でもあるなと思います。
あの時はTwitterも鬼滅の話題多かったなーって感じです。
似たような流れでヒットした作品だと進撃の巨人なんかが思い浮かびますが、今はあの頃よりはるかにネットの力が強くなっています。進撃が大流行したの2013年~2015年くらいですしね。

 

インフルエンサーやYouTuberなんかのここ数年で爆発的に社会に浸透した人たちもこぞって鬼滅を取り上げました。
そして…下ネタ的な使い方もされるので紹介するのもアレなんですが…
ネットでネタ的な使い方をされている言葉に「ぬかぶさ」なんてものもあります。
黒死牟という敵キャラがバトルの際、抜刀する前に言った
「此方も抜かねば…無作法というもの…」という真面目なセリフをエロ絵を見た時のコメントなんかに使うという度し難いノリです。でも個人的にはこういうノリ好きです。
流行る漫画ってのは少なからずネットで遊ばれます。
そういうのを呟いてバズッたツイートなんかをきっかけとして漫画を知ることも多くなってきているので、悪意のあるノリ以外は多少寛容に見ていきたいですね。

 

まとめると良質な作品群であり、なおかつ「時代」という誰にも予測できないものにうまくはまった結果、日本の歴史にすら残るといっていいほどの大ヒットとなったという感じですかね。
これら一連のブームを身をもって体験できた我々は幸運だったのかもしれません。
さすがにここまでのレベルで流行るものは暫くは出てこないでしょうし…

 

これからも鬼滅を楽しみに追っていきたいですね。
劇場版第2弾とかもあるのかな?あるでしょうなー。
僕は漫画をジャンプ本誌で追ってたので単行本は手元にないのですが、
いつか手に入れてレビューしたいですね。
それではこの辺で失礼します。

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